血液と血管の謎 17

一方、血液の中の血小板には「トロンビン」、血漿には「フィブリン」という血液を固める因子があります。
「トロンビン」というちょっと変わった名前の名前の因子は、何も制約を受けないと、ほんのわずかな量で全身の血液をあっという間に固めてしまう恐ろしいものです。
でも大丈夫です。
このトロンビンという因子は通常は「プロトロンビン」という形で血小板の中に存在し、この状態の時には血液を固める作用が働きません。
血漿中のフィブリンも同様で、普段は「フィブリノーゲン」というタンパク質の形をとって血漿中に溶けています。

ところが、血管が傷ついて出血すると、このプロトロンビンに特殊な作用が働いてトロンビンへと変化します。
そして、このトロンビンの働きによって、フィブリノーゲンがフィブリンへと変化し、血管や血管壁などもすばやく反応して、止血のための緊急体制に入ります。
どこかの血管が破れると、血管の中膜にある筋肉が収縮して、傷の部分血流を遅くし、大量の血液が流れ出ることを防ごうとします。
そして傷つけられた血管壁の内皮細胞に血小板がくっつき、さらに血小板同士が集まって栓をします。
この栓のことを「血栓」といいますが、これは緊急の一時的な止血なので、このままではすぐにはがれてしまいます。
そこで血漿中の凝固因子であるフィブリンが登場します。トロンビンによってフィブリノーゲンから変化したフィブリンが、網のように血栓を包み込むのです。こうして丈夫なカサブタが出来上がり、止血は完了します。

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