進行すると足を切断することも?!怖い血管の病気・末梢動脈疾患

ここでは、放置すると深刻な状態に陥ってしまう怖い血管系の病気、末梢動脈疾患についてご紹介します。

末梢動脈疾患は、別名でPADとも呼ばれます。これは末梢動脈疾患の英語表記Peripheral arterial diseaseの頭文字をとったものです。文字通り末梢動脈に生じる病変によって起こる疾患です。末梢動脈疾患には色々な病態が含まれますが、今日では閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis obliterans:ASO)と呼ばれる病態が増え、大部分を占めるようになってきたので、これを中心に説明をして行きます。

末梢動脈疾患の原因は、動脈硬化です。動脈硬化は加齢によって血管の弾力性が損なわれることでも起こりますが、現代では糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病でさらに動脈硬化が進行しやすくなっています。動脈硬化が進行すると、血管の内部が狭くなり血液の流れが悪くなります。すると臓器や組織に酸素や栄養分が行き届かなくなり、障害が起きるようになります。動脈硬化は全身の末梢動脈で生じる可能性があるため、末梢動脈疾患は全身で起こり得る病気なのです。

末梢動脈疾患では、血行不良によりしびれや痛みが生じます。さらに血行不良の状態が続くと、潰瘍ができたり、ひどい場合は組織の壊死が起こることもあり、最悪の場合壊死した部分の切断を余儀なくされる場合もあります。動脈硬化によって血管が詰まる場所としては下肢動脈が多く、その場合の初期には間欠性跛行と呼ばれる症状が現れます。間欠性=一定の間隔で物事が起こったり止んだりする状態、跛行=正常に歩けないことの意味で、間欠性跛行とはしばらく歩行した後に足やお尻の痛みで歩行困難になり、しばらく休むと再び歩けるようになる症状のことを言います。

一見するとこの間欠性跛行は、足の痛みという症状から整形外科領域の問題に思われて、整形外科を受診する人がほとんどだと思われます。事実、腰部脊椎管狭窄症という疾患によっても間欠性跛行は起こりますが、末梢動脈疾患のように最終的に足の切断が必要になるようなことはありません。したがって疾患の鑑別が非常に重要になって来ます。末梢動脈疾患は、動脈の脈拍の強弱や、上腕部と下肢の血圧の測定でほぼ診断がつきます。間欠性跛行が現れたときには、整形外科的な検査と血管の検査を両方行います。

末梢動脈疾患では、軽症例から重症例にいたるまで薬物療法が最も基本的な治療法となります。動脈硬化に対しての抗血小板薬、抗凝固薬の投与が行われ、場合によっては血管拡張薬の投与も行われます。重症例では詰まった血管の血行を再建するために手術が行われます。手術にはバイパス手術とカテーテル手術があり、バイパス手術では詰まった血管に迂回路をつくる手術になります。カテーテル手術は、血管の狭くなった部分で風船を膨らませ血管を内側から広げる手術です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket